シアの木は25年の歳月をかけて初めて実をつけ、40—50年で熟成期に入ります。
原産地 では「神聖なる木」とも呼ばれ、不運を追い払う不思議な力があると代々伝えられて きました。
しかも、この聖なる実に触れることが出来るのは女性だけなのです。
採取、乾燥、焙煎、煮詰め、ろ過と全ての作業は女性以外に携わることを許されず、したがって伝統的な手法は長いこと地元の女性達に受け継がれてきました。
ところが、地元のマーケットでは、この手間隙かけて採取されるシアバターをバイヤーによって安く叩かれ、全く労力に見合わない価格で売買されているのが実情です。
この光景を目の当たりにした時、マザーアースはこのように思いました。 「この素晴らしく完璧なまでにナチュラルな存在であるシアバターと伝統的な手法を絶やすことなく、また、その労働力に見合う正当な価格で取引をし、日本でその名を広めて行きたい。」
この思いは今日まで絶えることなく、生産者達を支援することにも、また妥協をしないその商品作りにも反映されています。
マザーアースがガーナ産シアバターを日本に輸入することを考え始めたのは2004年のことです。
しかし、実際にそれが実現したのはそれから1年後のことでした。
ガーナでシアバターを生産できるのはシアベルトと呼ばれるサバンナのごく一部にすぎず、その中からこちらの要望通りの品質管理でシアバター生産を請け負ってくれるグループを探すことから始めなくてはなりません。
それというのも、日本で精製する必要のない高品質なシアバターをつくるためには、製造過程で大量に使用される雨水や貯水を使うことは出来ないからです。
現地で生産された製品は、使用される水から大腸菌を含む微生物が混入しており、現地の方には全くの無害なのですが、そのままでは日本に輸入ができません。
「日本へ輸入できる徹底した品質管理を引き受けてくれるグループははたしているのだろうか?」
そんななかで、私達の不安に答えてくれたのはノーザン州イエンビ村のヤコビさん率いる女性グループの皆さんでした。
ヤコビさんのグループは20人余りの主婦たちで構成されていますが、地元でも名のとおった熟練したシアバター作りの面々でもあります。
グループのスタッフには、高品質のシアバター作りのため、特にお願いをしてナチュラル・ミネラルウォーターを使用した新しい作り方に取り組んでもらうことになりました。
出来上がったシアバターも、現地マーケットに出荷されるもののようにお団子に丸めて外に積むことをせず、新鮮な状態で保存できる容器にすぐ詰めて1週間以内に日本へ空輸するようにしました。
マザーアース用シアバターは、グループのスタッフにとっては確実に「面倒で贅沢な作り方」なのですが、彼女達は少しもいやな顔をせず注文を受けてくれ、気がつけば良い取引をはじめて19年が経とうとしています。
定期的なシアバターの受注が彼女達の要求価格で支払われることにより、イエンビ村の家族の暮らしや子供達への教育はより安定したものになりました。
一方、マザーアースは日本でシアバターの素晴らしさを少しずつ広め、いまでは多くのガーナ産ピュアシアバター・ファンを持つに至っています。
わたしたちは小さい規模ながらも、お互いに成長することができてきたたわけです。